シチリアにいらっしゃった方や、シチリアデザインがお好きな方に質問です。
こんな置き物↓を見たことはないでしょうか?
これはTesta di Moro(テスタ・ディ・モーロ)と呼ばれるものです。
シチリア中で見られ、植木鉢としての使い方が本来ですが、その他にもインテリアに使ったり、結婚式などの引出物としても選ばれたり、シチリアデザインとしてファッションにも取り入れられたりします。
Dolce&Gabbanaもデザインに取り入れてたね!
Testaはイタリア語で頭のこと、そしてMoroというのはムーア人のことです。
じゃあ、「ムーア人の頭」??
シチリアなのに、どうしてムーア人??
※ムーア人:北西アフリカのイスラム教教徒の呼称(Wikipediaより)
これは、実はとある伝説が基になっています。
一体どんな伝説なのでしょうか?シチリア在住の筆者が解説していきます!
Testa di Moro(テスタ・ディ・モーロ)にまつわる伝説
時は1000年代頃、アラブ人がシチリアを統治していた時代へさかのぼります。
当時、パレルモにとても美しいシチリア人の少女が暮らしていました。少女はほとんどいつも家にいて、バルコニーで花の世話をして暮らしていました。
ある日、1人の若いムーア人の男性が通りかかります。ムーア人は少女に一目惚れし、ためらうことなく少女に自分の愛を告げます。
少女は彼の溢れんばかりの情熱に押され、関係を持ちます。しかしこの関係は長くは続きませんでした。
ある時、このムーア人は彼女を置いて、一人で自分の国に戻ります。
自分の妻と2人の子どもが待つ国へ…
このことを知った少女の幸せは一瞬にして砕け散ります。
それから再びムーア人がシチリアへ戻ると、少女はある夜、ムーア人が眠りに落ちるのを待ち、眠っているムーア人の首を切り落としてしまうのです。
このようにすれば、ムーア人は国に戻ることなく、
いつも一緒にいられるから…。
少女はムーア人の頭を自分のバルコニーに置き、バジルを植えます。そのバジルのよく育つこと!たちまち近所で評判になります。
そこで、多くの人が真似をしてわざわざムーア人の頭をデザインした陶器の鉢をつくり、バルコニーでバジルなどの植物を育てるようになりました。
というわけで、このTesta di Moro(テスタ・ディ・モーロ)の男性はムーア人、女性はシチリア人なのです。
…おしまい。
結構ドロドロした話ですよね(笑)
もっとハートウォーミングで感動的な話かと…
世の中のすべての男性にこの伝説を贈ります。
女性に不義理をすると、痛い目にあいますよ!
日常を彩るTesta di Moro(テスタ・ディ・モーロ)
伝説はこんなドロドロした話ですが、冒頭でも触れたようにデザイン的にはこのTesta di Moroはいまでも大人気です!
伝説のように植木鉢としてバルコニーで使うのが本来ですが、今はインテリアや贈り物として使われるのがほとんどです。
インテリア用のTesta di Moro↓
ムーア人男性とシチリア人女性が表裏になっているデザイン↓
お菓子のパッケージに描かれていたりもします↓
このように、Testa di Moroはシチリア人にはとっても身近なものです。
筆者も、最初に伝説を聞いたときはびっくりしましたが、今では財布をTesta di Moro柄にするほど気に入っています!
Testa di Moro(テスタ・ディ・モーロ)はどんなところで買える?
シチリアで陶器を売っているお店にいけば必ずあります。
大きいものから小さいものまで、デザインは1つ1つ異なります。
とくに陶器の街と呼ばれるほど陶器で有名なカルタジローネ(Caltagirone)という街へ行けば、お気に入りのTesta di Moroテスタ・ディ・モーロがきっと見つかることでしょう。
飛行機で持って帰る、と伝えれば厳重に包装してもらえますので、気に入った方はぜひ、1ペア連れて帰られてはいかがでしょうか。イタリアではなく、完全にシチリアのお土産です!
以上、「シチリアでよく見かける男性と女性の頭の置き物について」でした!