シチリアを巡る目的の一つに、世界遺産が挙げられるでしょう。
イタリアには55件(文化遺産50件・自然遺産5件)の登録があり、世界最多の世界遺産数を誇ります。
そしてその55件のうちの7件(文化遺産5件・自然遺産2件)がシチリアにあります。
イタリアの自然遺産5件中2件はシチリアにあるんです!
ということでこの記事ではシチリアの世界遺産の概要をご紹介していきます!
- シチリア旅行を検討中だけど何を見るべき?
- シチリアの世界遺産ってどんなものがあるの?
という方におすすめです!
アグリジェントの遺跡地域
ギリシャ人により紀元前6世紀に築かれた、シチリア島南西部の町アグリジェント(Agrigento)。
考古学公園には、今も古代ギリシャ時代のドーリア式神殿がかなり保存状態のよい形で残されており、それらの遺跡地域全体が1997年に世界遺産に登録されました(『神殿の谷』Valle dei Templi)。
ギリシャ時代の神殿群の他にも、ヘレニズム時代・ローマ時代の遺跡が多く見つかっています。
夏のアグリジェントは日差しが強くかなり暑いので、日焼け止めや帽子などは必須です。
夏季は夜間も開いていますので、暑さ対策の意味でも敢えて夜に訪れるのもおすすめです。ライトアップされた神殿はまた一味違って美しいですよ。
Parco Archeologico della Valle dei Templi(神殿の谷・考古学公園)
公式サイト:https://www.parcovalledeitempli.it/
ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ(カサーレ荘)
シチリアのちょうど真ん中あたりに位置する町ピアッツァ・アルメリーナ(Piazza Armerina)。その近郊にあるヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ(カサーレ荘)は、ローマ帝国時代の3~4世紀頃に建てられた貴族の別荘。世界遺産には1997年に登録されました。
見どころは何といってもモザイク画。
広大な敷地内に建てられた別荘の、ほぼすべての床に精巧なモザイク画が施されています!
それはそれは経済力のある有力貴族が所有していたのでしょう。
別荘は何棟も何部屋もあるので、すべてじっくり見ようと思うと、最低でも半日はかかります。十分に時間に余裕をもって行かれることをおすすめします。
エオリエ諸島(自然遺産)
シチリアで最初の世界自然遺産、エオリエ諸島(Isole Eolie)。2002年に登録されました。
エオリエ諸島はシチリア島北東部メッシーナ県の北側にあり、ミラッツォ(Milazzo)という町の港から船が出ています(夏季はパレルモなど主要な町からも)。
エオリエ諸島は下記の7つの火山島から成り、世界自然遺産に登録されるに相応しい、火山島ならではの自然の魅力に圧倒されます。
- リーパリ島(Lipari)※エオリエ諸島で一番大きな島
- ストロンボリ島(Stromboli)
- サリーナ島(Salina)
- ヴルカーノ島(Vulcano)
- パナレア島(Panarea)
- アリクーディ島(Alicudi)
- フィリクーディ島(Filicudi)
夏はシチリア・イタリアだけでなく世界各国からたくさんの人がバカンスに訪れます。
観光名所を周るのももちろんですが、やはりエオリエ諸島では大自然の中でゆっくりと流れる時間を楽しむのが醍醐味。出来るだけ長い時間滞在したいものです。
エオリエ諸島は豊かな自然のほか、豊かな農作物にも恵まれています。サリーナ島のケッパーはスローフード協会が認定するプレシディオ食材としても有名です。
参考プレシディオ食材って何?という方はこちらから
ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の街々
2002年に登録された、『ヴァル・ディ・ノート(Val di Noto)の後期バロック様式の街々』。
大聖堂やエトナ山、と言われると分かりやすいのですが、ヴァル・ディ・ノート?街々?と、名前からはイメージしにくいのがこの世界遺産です。
”ヴァル・ディ・ノート”はシチリア島南東部のエリアを指し、”街々”とは具体的に下記の8つの街のことをいいます。
- カルタジローネ(Caltagirone)
- ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア(Militello in Val di Catania)
- カターニア(Catania)
- ノート(Noto)
- ラグーサ(Ragusa)
- モディカ(Modica)
- シクリ(Scicli)
- パラッツォーロ・アクレイデ(Palazzolo Acreide)
1669年にエトナ山の大噴火で半壊した街々を、さらに1693年に大地震が襲い、街が文字通り全壊。その後の都市計画により、これらの街では、あらゆる建物が後期バロック様式で建て直され、芸術的な美しい街並みとともに生まれ変わりました。
つまり、街並みが世界遺産ということです。
世界遺産としては「街々」としてまとめられていながらも、やはり1つ1つ違った雰囲気。バロック様式の街並みだけでなく、その他観光・絶景スポットやグルメなども「そこでしか味わえない」がいっぱいです。
交通の便は良いとは言えませんが、カターニアから2時間程度で行けるところがほとんどなので、旅の目的をヴァル・ディ・ノートにしぼって観光するのも楽しいと思います。
なお、ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア(Militello in Val di Catania)、パラッツォーロ・アクレイデ(Palazzolo Acreide)は特に交通の便が悪いところ。その他の6つの街を優先的に周るのをおすすめします。
シラクーサとパンターリカ岸壁墓地遺跡
紀元前8世紀からギリシャ人植民地となったシラクーサ(Siracusa)。パレルモに州都が移るまで、このシラクーサが主要都市でした。
現在残っている古代ギリシャ時代の遺跡の数々を見ると、どれほど繁栄した都市だったかが分かります。登録年は2005年。
元々神殿だったものを教会に改装したシラクーサの大聖堂や、シチリアで一番大きなギリシャ劇場や円形闘技場、祭壇などが残るネアポリス考古学公園は必見です。
そんなシラクーサとともに世界遺産に登録されているのがパンターリカ岸壁墓地遺跡です。
シチリア原始時代の遺跡で、白い岩壁に掘られた5000以上もの墓が残っています。そのほとんどが紀元前13世紀~紀元前7世紀のものだというので驚きです。
パンターリカ岸壁墓地遺跡はシラクーサから約50㎞離れたところにあるので、シラクーサ観光とは別の日に訪れる方がよいでしょう。また、ここは車が必須ですので、レンタカーか専用車を検討しましょう。
エトナ山(自然遺産)
シチリア島のシンボル的存在であるエトナ山。2013年に世界自然遺産に登録されました。
ちなみに、我らの富士山の世界遺産登録も2013年です(文化遺産ですが)
標高は約3300m(頻繁に噴火するので定まらない)で、アルプスを除けばイタリアで一番高い山です。
また、ヨーロッパの活火山の中では最大級。ナポリのヴェスヴィオ山が1280mほどなので、その3倍弱といったところです。
現役の活火山で日常的に噴煙をあげていますが、地元民にとっては「ああ、また噴火してるね」と日常の1ページのよう。避難を要するほどの危険がある場合はほとんどありません。
夜になると麓には明かりが灯り、多くの人がエトナ山の近くで生活していることが分かります。
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もちろん、過去には何度も町を一瞬にして飲み込むほどの大噴火も起こしています。
歴史的に最大規模の噴火の1つは、1669年のもの。この噴火と続く1693年の大地震でシチリア南東部は壊滅しますが、その後、街は後期バロック様式で再建され、美しく生まれ変わります(→ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の街々)。
エトナ山がシチリアにもたらしているのは、その美しさだけではありません。
”Terra Madre(母なる大地)”とも呼ばれ、エトナ山のミネラルを豊富に含んだ大地からは、ワインとなるぶどうやオリーブをはじめ、多くの良質な農作物が育ちます。
エトナ山の麓ではワイナリーも多くあり、カターニアやタオルミーナなどの観光地から気軽に日帰りで行くことができます。ワイン好きの方にはワイナリー訪問も旅程に組み込んでみてはいかがでしょうか。
アラブ・ノルマン様式のパレルモとチェファル・モンレアーレの大聖堂
2015年、シチリア島の北西にあるパレルモ・チェファル・モンレアーレにあるアラブ・ノルマン様式の大聖堂など計9か所が世界遺産に登録されました。
シチリアは数々の異なる征服者に支配されてきましたが、イスラム・ビザンチン文化と西洋の文化が見事なまでに融合したアラブ・ノルマン様式の建造物は、豪華絢爛で他に類を見ない新しい芸術として、パレルモやチェファル、モンレアーレを特別なものにしています。
世界遺産登録されたのは下記の9か所です。
◆パレルモ Palermo(7か所)
- ノルマン王宮とパラティーナ礼拝堂 Palazzo dei Normanni e Cappella Palatina
- サン・ジョヴァンニ・デリ・エレミティ教会 Chiesa di San Giovanni degli Eremiti
- サンタ・マリア・デッランミラリオ教会(マルトラーナ教会) Chiesa di Santa Mariadell’Ammiraglio(Chiesa della Martorana)
- サン・カタルド教会 Chieda di San Cataldo
- パレルモ大聖堂 Cattedrale di Palermo
- ジザ宮殿 Castello della Zisa
- アンミラリオ橋 Ponte dell’Ammiraglio
◆チェファル Cefalù
- チェファル大聖堂 Cattedrale di Cefalù
◆モンレアーレ Monreale
- モンレアーレ大聖堂 Cattedrale di Monreale
さいごに(注意点あり!)
この記事では、シチリアの世界遺産7件を一挙にご紹介してきました。
みなさんは、どの世界遺産に興味が湧きましたか?
シチリアは島とはいえ想像以上に広く、交通の便が悪いところなので、シチリア島内に点在する世界遺産7件を全部周ろうとすると、最低でも1週間の滞在は必要になってきます。
かなりスケジュールを詰め詰めに詰め込んで1週間でギリギリです
九州よりちょっと小さいぐらいの大きさの島にこのように点在しています↓
読んでくださっている皆様は、「自然遺産が好き!」「遺跡が好き!」などそれぞれ興味のある分野があるかと思います。
気になる世界遺産を中心に、周辺の町を周るのもよし。滞在する町から近い世界遺産や、世界遺産を周るツアーを申し込むのもよし。
しっかり旅行計画を立ててから行きましょう!
それぞれの世界遺産の詳細やアクセス等については、今後投稿される各レポートにてご確認頂けますと幸いです!